2008年にダイニーマ®ファイバーを使用した係留ロープを初めて導入して以来、コスパールレイク(COSPERARL LAKE)号は中国から中東までの航路で11,200時間の合計係留時間を記録しています。この間、コスパールレイク号はどの港でも、ダイニーマ®ファイバーを使用したオリジナルの22本の係留ラインを使用して係留されてきました。鋼線ロープの寿命は平均5年と言われていますが、このラインは予想をはるかに超えており、コスコ(COSCO)社にとっては一大転機になったことが証明されています。
2018年10月の検査時には、コスパールレイク号の係留ラインは10年以上使用されていましたが、この間の性能低下は非常に限定的でした。スプリングラインの破断試験では、114トンの残留強度を示し、元の130トンの87%の強度を保持していました。
コスコ・シッピング・エナジー(COSCO Shipping Energy)社の副社長であるザオ・ジンウェン(Zhao Jin Wen)氏は、次のように述べています。「この10年間、ダイニーマ®ファイバーを使用したラインは、耐用年数、効率性、安全性の面で明確な性能を発揮し、当社の期待以上の成果を上げてきました。長年のパートナーであるアビエント社との関係を拡大できたことを嬉しく思い、今後もダイニーマ®ファイバーを使用したラインをオイルタンカーに使用する予定です。」
コスコ大連(COSCO Dalian)社では、30万トンの大型原油運搬船(VLCC)の係留に長年鋼線ロープを使用していましたが、2006年にそのやり方を変えました。
鋼線ロープは何十年も前から業界の標準となっていましたが、その理由は、単にそれで仕事ができていて、他に現実的な選択肢がなかったためでした。コスコ大連(China Ocean Shipping Groupの子会社)では、世界最強のファイバーであるダイニーマ®ファイバーを使用した2種類の係留ラインを8か月間の海上試験で評価しました。
その結果、2007年9月、コスコ社は最新のVLCC船、コスパールレイク号にダイニーマ®ファイバーを使用した係留ライン一式を装備する決定をしました。これにより同船は22本の係留線をフル装備し、世界で初めてダイニーマ®ファイバーを使用した係留ラインを100%装備したVLCC船となりました。
近年のVLCCの大型化に伴い、それに対応するより強力な係留ラインが必要とされています。これは、ラインの重量も量も増えることを意味しています。従来のスチールラインを使うと、1本2.46トン、単位重量8.8kg/mになります。重量が増えるということは係留のための工数が増え、取扱いが難しくなるということです。そこで、コスパールレイク号に設置されたラインの出番です。ダイニーマ®ファイバーを使用した係留ラインの重量はわずか0.35トンで、同強度のスチール製ラインの7分の1です。
ダイニーマ®ファイバーを使用した係留ラインの優れた重量比強度のおかげで、コスパールレイク号の平均ドッキング時間はわずか70分となり、鋼線ロープを使用していた時の平均4時間から大幅に短縮することができました。また、このラインは過去10年間にわたってドッキング時間を大幅に節約し、コスコ社のドッキング作業の迅速化に貢献しています。また、ドッキングの迅速化は、ターンアラウンドタイムの短縮によって収益性が向上することを意味します。重くグリースにまみれたスチール製ラインを扱うことは、乗組員にとってより多くの時間を必要とし、係留前の準備時間も多く必要でした。ダイニーマ®を使用したラインを使用することで、このプロセスが簡単になり、乗組員はウィンチからラインを引き出すだけで、すぐにドッキングを開始することができます。
貴重な時間が解放されただけでなく、コスパールレイク号は、港に足止めされずよりより長い時間海に出て行けるようになりました。ダイニーマ®ファイバーを使用した軽量な係留ラインは、係留に関わる様々な船や港の作業員がより安全に使用することができます。
コスパールレイク号が中東の海路や石油積込ターミナルを航行する中で、効率性は乗組員の健康にとって重要な要素です。アビエントの海事部門マネージャーであるヨーン・ボエステン(Jorn Boesten)氏は、「過酷な気象条件の中で重く面倒な係留ラインを扱う作業は、迅速かつ効率的なドッキングを絶対条件とする経験豊富な乗組員にとっても困難な作業です」と語ります。
ダイニーマ®ファイバーを使用した係留ラインは、軽量で柔らかく柔軟性に優れているため、
乗組員が安全に取り扱うことができます。今までのところ、コスパールレイク号で新しい係留ラインの取扱いによる手や手首、腰の怪我は一件もありません。
ダイニーマ®ファイバーを使用した係留ラインは、スチールワイヤーの代替品とは異なり、グリースやその他の潤滑剤を必要としないため、乗組員が甲板やその他の汚れた部分を清掃する必要がなく、滑りやすい甲板で滑ったりや怪我をする可能性を減らすことができます。
また、船員にとっては甲板上での生活がより安全になるだけでなく、
グリースや潤滑剤、関連する洗浄剤が不要になることで、
海への汚染物質の流入が制限され、コスパールレイク号が確実に厳しい環境汚染規制に準拠できるようになります。
アビエントのグローバルセグメントディレクターであるバスティアン・ド・コニング(Bastiaan de Koning)氏は、コスパールレイク号での画期的な出来事について次のように述べています。「過去10年間のコスコ社とのパートナーシップを大変誇りに思っています。この関係は、当初の試験に成功して、2008年にコスパールレイク号に係留ロープが装備されたことで築かれました。その係留ロープが今も健在であることは、ダイニーマ®テクノロジーとコスコ社のその採用の双方にとって成功の証拠です。私たちは、これからもコスコ社の船に優れた性能を提供し続けていきたいと考えています。」
当社の専門家にご相談ください。ダイニーマ®によるお客様のビジネスの最適化についてアドバイスを提供いたします。