浅い水域。8メートルの波。1隻のばら積み貨物船

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概略:

  • ばら積み貨物船MVベニータ(MV Benita)号がダーバンに向かう途中で座礁し、浅瀬と高波で初期救助活動が不可能に
  • 悪天候のため、スチール製曳航ワイヤーを取り付けるのに十分な距離までタグボートが近づけず、残る選択肢はただ一つ、ヘリコプターでロープを運ぶこと
  • ダイニーマ®は、危険なサルベージ作業に当然の選択肢であることが明らかに。軽量で輸送や取扱いが容易でありながらマンモス船の離礁させるのに十分な強度

2016年6月17日、南アフリカの都市ダーバンに向かうばら積み貨物船MVベニータ号が座礁。船内の145トンの燃料を移動させて、遭難船を離礁させるためにファイブオーシャンズサルベージ(Five Oceans Salvage)社がその作業をすることになりました。過酷な条件のため、船を離礁させるにはダイニーマ®を使用したロープが十分な強度と軽さの両方を兼ね備えた唯一の選択肢になりました。

 

ファイブオーシャンズサルベージ社

ギリシャを拠点とするファイブオーシャンズサルベージ(FOS)社は、2007年から世界中で事業を展開している国際的なサルベージ、曳航、難破船の撤去、緊急対応事業者です。

確率との戦い

座礁事故の後採用されたFOS社は、船主の保険会社やモーリシャス当局の支援を受けながら引き揚げ作業を支援しました。今回の作業の主な目的は、船が座礁地点から動かさず、これ以上の乗り上げるのを防ぐと同時に船内の燃料を撤去することでした。この作業は、ベニータ号が岩礁の上にあり、高さ4~8メートルの波が発生していたため、サルベージ用のタグボートが海上から近づくことが不可能であったことで、さらに複雑なものとなりました。

また、MVベニータ号が座礁した場所に近づけないことが、対応をさらに複雑にしていました。

FOS社のサルベージ用タグボートは2隻とも64mmのスチール製の牽引ワイヤーを装備していました。しかし、ベニータ号は座礁していたため動力がなく、また周辺が浅瀬であるためにタグボートが200m以上近くに近づくことができませんでした。受け入れ船側に動力がないため、事故船にタグボートをつなぎ、離礁させる位置からベニータを動かないようにする唯一の方法は、ダイニーマ®を使用したロープを使用することでした。サルベージ作業員が取扱い、ヘリで輸送するのに十分な軽さのロープであったためです。

悪天候のため離礁作業は困難に

離礁作業の間、天候は問題であり続けました。実際、これ以上乗り上げないようにするため、ベニータ号に常に二隻のタグボートを繋いでいなければなりませんでした。

「悪天候で船に近づくことができなかったため、ロープをヘリコプターで船に移すしかありませんでした」と、タグマスターのキリアコス・グダス(Kyriakos Goudas)船長は述べています。「ダイニーマ®を使用したロープは、作業に必要な強度を確保しつつ、十分な軽さを備えていました。」

ロープが軽量で取扱いが容易なため、乗組員は簡単に船に取り付けることができました。

軽量ソリューションを提供するダイニーマ®

The world's strongest fiber™(世界最強の繊維)であるダイニーマ®固有の特性により、ダイニーマ®を使用したロープはスチールと同等の強度を持ちながら7分の1の軽量化を実現し、迅速でより安全な取扱いを可能にします。また、ダイニーマ®を使用したロープは耐久性に優れ、紫外線にも強く、過酷な環境下でも優れた性能を発揮します。

「ロープの扱いやすさは、離礁作業に大きな違いをもたらしました」とグダス氏は述べています。「ダイニーマ®を使用したロープのおかげで乗組員の安全を損なうことなく、作業をスピードアップできました。」

MVベニータ号の離礁作業に使用されたカパネーマプラス(Kapaneema Plus)ロープ装備したFOS社のタグ2隻

  • イオニアン・シー・フォス(IONIAN SEA FOS)号:10,560BHPのアンカーハンドリングタグサプライ船/102トンの陸岸曳引力
  • コーラル・シー・フォス(CORAL SEA FOS)号:9,000BHPのアンカーハンドリングタグサプライ船/80トンの陸岸曳引力

両船とも、D.Kコロナキス(D.Koronakis S.A.)社が製造したダイニーマ®ファイバー製の400m x 64mm、300トンのMBLカパネーマプラス(MBL Kapaneema Plus)ロープを装備

ダイニーマ®ファイバー本来の利点に加え、ロープの2色のジャケットは、ダイニーマ®のコアを保護するだけでなく、曳航ラインのねじれを見つけて取り除くことにも役立ちました。

「破断荷重だけでなく、カパネーマプラスのロープの耐久性にも非常に満足しています」と、D.Kコロナキス社の技術部は述べています。実際、スタッフは、ロープを受け取って再テストしたとき、10年以上もの間使用された後も元の特性が維持されていることに驚愕したことを認めています。

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