自社の船舶で使用されていたロープの不具合に継続的に悩まされていたBW Fleet Managementは、解決策としてダイニーマ®を使用 のロープへの変更を決断しました。
時に私たちは「もううんざりだ!」と思う瞬間に直面することがあります。BW Fleet Management(以下「BW FM」)にとってその瞬間は、スペインで停泊作業中、一隻の船舶で7本の係留索に不具合が生じた時に訪れました。この出来事がきっかけとなり、BW FMは抜本的な変更が必要であると判断し、使用していたHMPE製係留索をすべてDyneema® SK78製のSamson AmSteel®-Blueロープ に変更しました。これによりBW FMが頭を抱えていた問題が解決されました。
変更を後押ししたのは、ある構造のHMPE製被覆係留ロープに起因する一連の継続的な問題の中でも直近に発生し、これまでで最悪の事態となった不具合でした。同様の不具合に悩まされていたのはBW Groupの一部であるBW FMだけではありませんでした。他のLNG船の運航業者(オペレーター)もまた、同じような安全と運航効率に関連する問題を抱えていました。BW Groupのガスおよびタンカー事業向けに、社内で船舶管理と新たな船舶の造船サービスを提供しているBW FMは、停泊時に事故が発生した後、これ以上係留索の不具合の問題を無視できず、直ちに問題を解決する必要があると判断しました。
BW FMが踏み出した最初の一歩、それはロープが使い物にならなくなる理由を調べるため、Samsonと契約を締結することでした。Samsonは、ダイニーマ®を使用 の高性能ロープの開発および製造分野において世界をリードする企業です。船舶に乗船し、実際に海上に出て行われた調査の結果、被膜が原因で、ロープの芯を適切に点検できていなかったことが明らかとなりました。荷重がかかるロープの芯を摩耗や切断、劣化から保護するために被膜索が使用されていましたが、安全性を補強するために追加された対策が裏目に出てしまっていたのです。つまり、被膜索により、ロープの芯をすぐに点検することができなくなっていたのです。被膜によって荷重のかかる芯の損傷が隠されてしまい、荷重がかかった時に、被膜索に不具合が生じる原因となっていた可能性が特定されました。
Samsonによって実施された調査とロープの状態に関する総合的な報告書に基づき、BW FMは使用している係留索をすべて被膜されていない係留索に交換することが、自社の船舶と乗組員の安全を確保する最善の方法であるという結論に至りました。これは、ロープの不具合に対しての保護を低下させる解決策に思われましたが、実際にはBW FMの船舶の安全性と業務効率を大幅に向上する解決策となりました。
被膜されていないロープに変更することを決断したBW FMは、いくつかのメーカーを検討し、最終的にSamsonが提供しているダイニーマ®を使用 SK78のAmSteel®-Blue係留索を選択しました。アビエント製造のDyneema® SK78には、過酷な用途で求められる長期間の耐荷重を発揮する特別な設計が採用されています。この繊維は、すべてのバッチで一貫した品質と、35 cN/dtexの引張強度を実現します。ダイニーマ®を使用 SK78のAmSteel®-Blue係留索は実際、他の等級のHMPEよりも優れた屈曲疲労特性を発揮し、長期的な静的荷重がロープの伸びの原因となる用途において、さらに長い耐用年数を実現します。まさにBW FMが求めていた係留索だったのです。
ダイニーマ®を使用 SK78のロープは通常、軽度の強度に加え、耐摩耗性、屈曲疲労性、耐圧縮疲労性、耐クリープ性のいずれかの条件が求められる用途で使用されます。BW FMの事例では、主に耐摩耗性、屈曲疲労性、耐クリープ性が求められました。
例えば摩耗。大きな船舶の係留には、導索器(フェアリーダ)を通し、キャプスタンにロープを巻き付ける作業が必要となります。ロープは過酷な状況にさらされ、ロープ外側の摩耗が繊維の劣化や損傷につながります。ダイニーマ®を使用 SK78のロープは、市販のHMPE製ロープよりも4倍も長い時間耐摩耗性を発揮することが実証されています。また、アビエント独自のコーティングをロープに施せば、さらに高い耐摩耗性を実現できます。
自身の業務にとって安全性と信頼性がいかに重要であるかを理解しているBW FMのLNG/FSRU&支援部門&の部門長オーラブ・リングスタッド(Olav Lyngstad)は、次のようにコメントしています。「被膜係留索を使用することで、私たちは索の状態を把握、管理できない状態に陥っていました。Samsonの索の数あるメリットのひとつに、継続的に索を目視点検できるというメリットがあります。これにより、私たちは係留の安全性を確保するため、索の交換や修理が必要な時に賢明な判断を下すことができます」
使い始めてから最初の2年間、ダイニーマ®を使用のSamson AmSteel®-Blue ロープに切り替えた船舶では「港や場所を問わず事故が発生することはありませんでした」とリングスタッドは振り返ります。これはつまり、平均使用時間1,500時間で破損した係留索がゼロであったことを示します。
注記:用途に最適な係留索を選択する際は必ずロープメーカーにご相談ください。ロープにはさまざまな構造があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。Dyneemaは、船主(オーナー)や運航業者(オペレーター)が用途に適切な係留ロープを選択できるよう導く専門知識を有する当社認定パートナーに相談することを推奨しています。当社認定パートナーに関する詳細は、 該当する用途の認定取得パートナーページにアクセスしてご確認ください。
当社の専門家にご相談ください。ダイニーマ®によるお客様のビジネスの最適化についてアドバイスを提供いたします。