
世界のエネルギー消費量は増加しており、風力などの再生可能エネルギー源には、このような需要に応えるよう大きな圧力がかかっています。
緊急性が高まるにつれて、再生可能エネルギー事業の計画も拡大しなくてはなりません。今日の風力発電所は以前と比べて大きな規模と効率の向上が必要です。つまり、事業者は、さらに厳しい納期で設備をスケールアップしなくてはならないのです。
台湾の沿岸から8km先にある雲林オフショア風力発電所は、このような大規模プロジェクトのひとつです。640MWの開発事業は80本の8MWモノパイルで建造されます。各モノパイルの重量は最高2,400トンにおよび、世界で最も意欲的な風力発電インフラストラクチャ事業のひとつです。
ただし、巨大な海洋建造物の基礎モノパイルは台湾に到着する前に危険な旅路を経る必要があります。この旅程は、9,000km離れたドイツ北部のスティールウィンド・ノルデンハム生産工場から始まります。
スティールウィンドは風力タービンモノパイルの建造を2019年7月に開始しました。40本の完全なモノパイルと120のモノパイルセグメントを高強度鋼板から作り出すのです。モノパイルは建造後、貨物船に積み込み、海上輸送しなくてはなりませんでした。重量物リフティングの運送・オフショア輸送業者であるジャンボ・マリタイムが最終的な設置場所まで運ぶ仕事を任されました。
エンジニア、クルー、ドック搬入担当者は、貨物の損傷から納期の遅延にいたるまで、工場から設置場所までのモノパイルの経路すべてにプロジェクトやクルーの安全への脅威が潜在していることを承知していました。このため、事業を滞りなく安全に進めるために信頼できる機器が必要でした。
ドックから船上まで精度の高いエンジニアリングによりクレーンで持ち上げた後、港湾作業員は高さ90m、直径11mの円筒形モノパイルが長い旅路に備えて安全にしっかりと固定されていることを確認する必要があります。海上では荒波や極端な温度のほか、雨や波しぶきにさらされるのです。
「大規模なプロジェクトでは装置も大きくなり、大きな装置は多くの準備が必要で、準備には長い時間がかかります」と言うのは、ジャンボ・マリタイムのピーター・マソット上級港湾長です。「ただし、契約により貨物を損傷なく安全に船上に積み込む時間は限られていました。」
ジャンボ・マリタイムは、このように大規模な作業では最良の装備が必要であることを承知していました。そのため、輸送中の荷重固定製品の製造と供給を行っているDolezychに問い合わせたのです。
「Dolezychとジャンボのパートナーシップはジャンボからの難しい要請から始まりました。現在のラッシングシステムを改善し、軽量化して扱いやすくするというものです。同社は毎日の作業向けに柔軟性のより高いシステムを望んでいました」とDolezychの荷重固定製品販売ディレクター、ウォルター・エクスタイン氏は言います。
その結果、生まれたのがダイニーマ®を使用したドノヴァ パワーラッシュ チェーンです。軽量の繊維チェーンで、鉄の強度を持ちながらも、やわらかく、人間工学的な面が改善されているため、より扱いやすく、柔軟な操作が可能です。
「ダイニーマ®ファイバーがドノヴァ®チェーンの重要な要素なのは、このファイバーが並外れた軽さとやわらかさに強度と耐久性を組み合わせた唯一の既存繊維繊維だからです」と語るのは、Dolezychの荷重固定製品販売ディレクター、ウォルター・エクスタイン氏です。
「従来の鉄製チェーンに比べて、この製品は最高85%軽量です。水に浮かぶほど軽く、伸長は非常に限定的で、ほぼゼロです。このような特徴を備えているため、非常に魅力的な鉄製チェーンの代替製品になります。」
ウォルター氏はドノヴァ®の軽さ、耐久性、改善された人間工学的要素についても認識しています。
パワーラッシュ チェーンは作業費用の低減にも役立ちます。「コスト節減は『進行中』です。このチェーンは人間工学に基づいているため、素早い作業が可能です。鉄とは作業量が異なり、取扱いがより軽く、輸送荷重が下がるので、全体的な排出量とリソース消費量が低下します」と言います。「ダイニーマ®を使用したドノヴァ®パワーラッシュ チェーンは、より広範な市場で増加する需要への答えにもなります」とウォルター氏は続けます。「これを作成する際、従来のシステムにダイニーマ®ファイバーを組み合わせ、業界にとってすばらしい新ソリューションが誕生しました。」
ダイニーマ®を使用した繊維チェーンは、鉄製チェーンと強度は同程度ですが、85%軽く、ラッシング作業の速さは2倍になります。軽量チェーンを使えば、モノパイルを固定するクルーはすばやく装置を輸送して、モノパイルの周りの適切な場所に配置できます。貨物を傷つけることはなく、特別な装置も不要です。
これはクルーの健康と安全に貢献するだけでなく、巨大なラッシング作業に必要となる多大なクルーの人数と作業時間が低減されるため、効率も上がります。
「当社では何よりも安全が第一で、ダイニーマ®は安全性を重視する慣習の一部です。毎日、この慣習を改善すべく努力しています。」ジャンボ・マリタイム社、ピーター・マソット上級港湾長
「ダイニーマ®があれば、ひとりの作業員が多数のチェーンを運べます」とピーターは言います。「軽量で設置時間が短く、各ラッシングを扱うために必要なクルーの人数も減らせます。たとえば、以前は1本の鉄製チェーンを使用する作業は4人がかりでしたが、ダイニーマ®ラッシングチェーンを利用すれば、1人か2人で済みます。」
「このモノパイルのように巨大な貨物では、いつも鉄製のラッシングチェーンとワイヤを使って固定していました。今ではダイニーマ®を使用した繊維チェーンを利用しています。」
このように巨大なモノパイルを固定し、厳しい納期内に予想のつかない天候条件下で輸送する場合は、常に作業員の安全リスクが伴います。ピーター氏は、頼りになる装備を用意するだけでなく、クルーの安全を維持して重要な安全基準を満たすことが事業の成功に欠かせないと理解しています。
「ダイニーマ®を使えば、安全で信頼できる作業を行えるので、鉄製チェーンの代わりに使っています」と言います。「将来は、船上のあらゆる装備をダイニーマ®と同じくらい安全で信頼できるものにしたいと考えています。」
環境への影響に関する規制が増える中、ジャンボは自社の活動のサステナビリティも考慮に入れる必要がありました。アビエントプロテクティブマテリアルズのアプリケーションマネージャー、ジュディス・ボッシュ氏は、サステナビリティがダイニーマ®ファイバーのエンジニアリングにおける主要な要素であること、そして、この素材が他の製品と一線を画す理由を理解しています。
「サステナビリティに関してダイニーマ®ベースの製品を選択する主要な利点のひとつは、耐久性が高いことです。このため、耐用期間が長くなるのです」と言います。「ダイニーマ®製品は極端な温度や極端なストレス下でも性能を発揮し、装置の耐用期間が延び、メンテナンス費用が下がります。」
「ダイニーマ®ベースの素材はラッシングシステムの単位強度当たりのカーボンフットプリントが最も低いので、『最もグリーンな強度』を備えています。」アビエントプロテクティブマテリアルズ、アプリケーションマネージャー、ジュディス・ボッシュ
モノパイルを安全にしっかりと貨物船に取り付けたら、台湾までの旅に出発できます。海路は危険ですが、製造業者、クルー、クライアントは、どのような天候になっても貨物とクルーは安全だと確信しています。
このように重量がある複雑なラッシング作業、厳しい納期、重なるコストに直面すれば、どのようなオペレーターでも職場の安全性や有効荷重の保護に妥協することなく配送するという圧力にさらされます。ダイニーマ®ファイバーは、最高の規制基準を満たし、なるべく素早く安全でスムーズなラッシング作業を実行しつつ、このような課題を克服する上で役立ちます。
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